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東京地方裁判所 昭和40年(特わ)348号 決定

本籍

東京都荒川区東尾久一丁目五百二番地

住居

同都北区中里町四百四十五番地

会社役員

中條八郎

大正三年九月二十二日生

右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件公訴を棄却する。

理由

本件公訴事実は、被告人は、東京都荒川区町屋六丁目三十四番四号に本店を置き、各種金属プレス加工並びにアルミニューム圧延、高圧ガス容器の製造等を営業目的とする資本金五千万円(昭和二十二年一月三十日設立当初十九万五千円、その後三回の増資を経て昭和三十四年三月千百五十五万円に、昭和三十六年六月二千万円に、昭和三十八年六月五千万円に順次増資したもの)の株式会社平和アルミ製作所の代表取締役社長として同会社の業務全般を統轄していたものであるが、同会社の常務取締役である妻中條嘉と共謀のうえ同会社の業務に関し法人税を免れる目的で、架空仕入を計上して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿し

第一  昭和三十六年四月一日より昭和三十七年三月三十一日までの事業年度において、株式会社平和アルミ製作所の実際所得金額が三千三百七十二万八千九百五十六円あったのにかかわらず、昭和三十七年五月三十一日東京都荒川区日暮里町七丁目四百八十三番地所在の所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が千七百四十七万八千二百九十七円であり、これに対する法人税額が六百二十八万九千九百六十円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同会社の右事業年度の正規の法人税額千二百四十六万五千二百二十円と右申告税額との差額六百十七万五千二百六十円を逋脱し、

第二  昭和三十七年四月一日より昭和三十八年三月三十一日までの事業年度において、株式会社平和アルミ製作所の実際所得金額が三千四百九十四万八千二百二十三円あったのにかかわらず、昭和三十八年五月三十一日前記所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二千四百三十七万六十四円であり、これに対する法人税額が七百八十三万三千八百五十円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって同会社の右事業年度の正規の法人税額千百八十四万二千三百四十円と右申告税額との差額四百万八千四百九十円を逋脱し

たものである、というのであるが、医師本多平吉作成の死亡診断書(死体検案書)および東京都荒川区長國井郡彌作成の戸籍謄本によれば、被告人は、昭和四十八年三月八日死亡したことが明らかであるから、刑事訴訟法第三百三十九条第一項第四号により本件公訴を棄却する。

(裁判長裁判官 高田義文 裁判官 松本昭徳 裁判官 池田眞一)

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